複式簿記とは?簡易簿記との違いは?【経理・会計用語をわかりやすく解説!】

複式簿記とは?簡易簿記との違いは?

複式簿記とは、確定申告の際に必要となる帳簿の記帳方法のことで、いわゆる「正規の簿記」です。

損益計算書と貸借対照表が導き出せる組織的な記帳方法のことをいい、取引を2つの方向から記帳していくため、複式簿記と言います。

確定申告では、1年間(11日から1231日までの間)の帳簿を基に、所得金額と税額を正しく計算し、申告しなければなりません。

事業所得等が生ずる業務を行う一定の方は、帳簿を備え付け、これらの業務に係る取引を所定の方法により記録し、一定期間保存することが所得税法で義務付けられています。

この所定の方法の一つが複式簿記です。

青色申告の65万円特別控除を受けるためにはこの複式簿記での記帳が必要となります。

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【複式簿記ってなに?】

【簡易簿記、現金式簡易簿記との違いは?】

帳簿の記帳方法には複式簿記の他に、簡易簿記と現金式簡易簿記があります。

<簡易簿記>

取引を1つの方向から記帳する方法で、複式簿記に対し簡易簿記と言います。

青色申告控除では10万円の控除しか受けられないというデメリットはあるものの、届出が不要で記帳の負担も少ないというメリットがあります。

<現金式簡易簿記>

現金式簡易簿記とは、収入や費用の計上時期を現金の出し入れを基準とする、いわゆる「現金主義」によって記帳する方法です。

通常、記帳は現金の受け取りや支払いの時点とは無関係に、収益と費用をその発生を意味する経済的事実に基づいて計上する「発生主義」が用いられます。

しかし、現金式簡易簿記は現金の出入金に基づいて記帳します。

「発生主義」での記帳に比べて簡便ですが、届出が必要で前々年度の所得が300万円を超えていると使用できません。

では、これらの3つの記帳方法はどう違うのか、例を用いて簡単説明します。

<例:615日に10,000円の商品を販売、720日にその代金が現金で支払われた>

複式簿記

<仕訳帳>

年月日

借方勘定科目

借方金

貸方勘定科目

貸方金

6/15

売掛金

10,000

売上高

10,000

7/20

現金

10,000

売掛金

10,000

<総勘定元帳・売掛金>

年月日

相手勘定科目

借方金

貸方金額

残高

6/15

売掛金

10,000

600,000

<総勘定元帳・売上高>

年月日

相手勘定科目

借方金

貸方金額

残高

6/15

売上高

10,000

1,010,000

<総勘定元帳・現金>

年月日

相手勘定科目

借方金

貸方金額

残高

7/20

売掛金

10,000

3,010,000

<総勘定元帳・売掛金>

年月日

相手勘定科目

借方金

貸方金額

残高

7/20

現金

10,000

590,000

必要に応じて現金出納帳等の補助簿にも記帳

簡易簿記

<現金出納帳>

年月日

摘要

売上

雑収入等

仕入

・・・

6/15

現金小売

10,000

現金式簡易簿記

年月日

摘要

売上

雑収入等

仕入

・・・

7/20

現金小売

10,000

また、それぞれの特徴は以下の通りです。

複式簿記

  • 帳簿付けが比較的難しい
  • 65万円の特別控除が受けられる

簡易簿記

  • 帳簿付けが比較的簡単
  • 青色申告で申告すれば10万円の特別控除が受けられる(65万円控除は受けられない)

現金式簡易簿記

  • 帳簿付けが最も簡単
  • 10万円の特別控除が受けられる(65万円控除は受けられない)
  • 届出が必要
  • 前々年度の所得が300万円を超えると使用できない

【複式簿記の記帳の流れは?】

現金式簡易簿記は現金出納帳のみ、簡易簿記はその取引にかかる帳簿のみの記帳で良いのに対し、複式簿記では1つの取引で複数の処理を行わなければなりません。

主な記帳の流れは以下の通りです。

  1. 仕訳帳への記帳
  2. (現金出納帳等の補助簿への記帳)※
  3. 仕訳帳を総勘定元帳に転記し、残高を把握
  4. 仕訳や転記の確認のため試算表を作成
  5. 貸借対照表及び損益計算書の作成(決算時のみ)

仕訳帳と総勘定元帳があれば決算書(貸借対照表及び損益計算書)の作成は可能ですが、詳細な記録を残しておくために、現金出納帳等の補助簿の作成もした方がよいでしょう。

このように手続きが多く煩雑であるため、複式簿記での記帳には膨大な労力と時間がかかります。

よって国税庁でもこれらの作業を効率的に行える会計ソフトの導入を推奨しています。

会計ソフトを導入することにより、会計業務を効率化できるだけでなく、人為的なミスも減らすことができるため、大変便利です。

また、詳しい記帳方法等に関しては国税庁HPに記載されている他、以下のような説明会や指導が行われています。

個人で事業を行っている方の記帳・帳簿等の保存について|国税庁

<青色申告者>

  • 外部委託による記帳指導

記帳の仕方のほか、一般的な決算における処理や確定申告書等の作成の仕方に至るまでの一貫した指導が行われます。

  • 会計ソフト方式

指導会場で会計ソフトを用いて記帳の仕方等について説明されます。

  • 説明会方式

指導会場で一般的な資料に基づき記帳の仕方等について説明されます。

  • 個別指導方式

自宅又は事業所等において、自分が備え付けている帳簿等に基づき複数回にわたって指導してもらえます。

【自分に合った記帳方法を選ぼう】

以上、複式簿記についてご紹介しました。

帳簿等の記帳は、単に税金の計算を行うためだけでなく事業経営の合理化・効率化等の検討にも役立つものです。

それぞれの特徴をよく理解して、自分に合った記帳方法を選択しましょう。

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