必要経費を増やそう!【個人事業主の節税対策】
個人事業主は経費を計上することで、税金を安くできます。やり方によっては経費を増やすこともできるので、節税対策でどのように増やすのかを説明します。
【個人事業主の節税対策】必要経費を増やそう!
1 経費を増やす節税方法は他の節税方法と比べて何が違うのか
個人事業主は青色申告をすれば、経費を増やして節税できます。これは制限のある個人節税とは何が違うのでしょうか。
1-1 経費は自由に増やせるが個人節税は制度の制限がある
個人事業主は事業のために要した費用を経費として収入から差し引くことができます。それに対して個人節税は、法制度のもとで定められた控除という形になるので制限があります。
それでは経費で増やせない節税方法には、どのようなものがあるのでしょうか。
給与所得はすでに基礎控除や医療費控除など、控除として認められるものが決まっているので、経費を増やすことはできません。そのほかの所得も、一部を除いて経費を計上できないので、節税をするならほかの手段を選ぶことになります。
たとえば、次のようなものがあります。
- ① ふるさと納税
- ② 確定拠出年金
- ③ NISA (少額投資非課税制度)
- ④ 住宅ローン減税
①のふるさと納税は正確には税金として支払うお金を寄付するものなので、節税とは違うかもしれません。ただし寄付した自治体から特産品をもらうので、その意味においては節税と言えるかもしれません。
②の確定拠出年金は、掛け金かすべて所得控除の対象となります。さらに利息や運用益は非課税となっています。
③のNISAは年間120万円までの非課税枠があり、5年間は有効となっています。あくまでも「利益に対する税金がかからない」という形での節税です。さらに、つみたてNISAの場合には20年間、つみたてNISAの口座内で得た利益は非課税になります。
④の住宅ローン減税は、一定期間のあいだローン残高に応じた金額が所得税から還付されるものです。これは経費や所得金額控除とは異なり、直接的に税金が戻るという性質を持っています。
いずれにしても、定められた枠組みの中でのみ節税効果が得られるという点で制限を受けるものです。
1-2 事業所得以外に経費が認められる所得
サラリーマンが副業として収入を得ている場合、経費が認められるのは次の3つのみです。
- ① 事業所得
- ② 不動産所得
- ③ 雑所得
以上は事業などのために要した費用は経費として認められます。
事業規模とは認められない所得は白色申告で申告しますが、要した費用は経費として計上できます。たとえば不動産所得ならローンの金利分や減価償却費といった経費もあります。
雑所得などは副業として行う人も多いと思いますが、購入した材料なども経費になります。これは青色申告での経費と同じです。
2 どんなものが必要経費になるのか
個人事業主が経費として申告できるのは、「収入を得るために要した費用」です。生活のための費用とは別なので、自宅で仕事をする人は注意しなければなりません。
2-1 経費として申告する勘定科目
経費の仕訳には様々な勘定科目があります。たとえば以下はその一部です。
① 消耗品費
10万円未満あるいは使用可能期間が1年未満の備品・物品
② 事務用品費
事務作業で使用する文房具など
③ 地代家賃
賃貸家賃や駐車場代など
④ 賃借料
土地建物以外のレンタル料
⑤ 水道光熱費
電気代・ガス代・水道代など
⑥ 通信費
インターネット代など
⑦ 租税公課
法人税・住民税以外の税金にかかる費用など
⑧ 減価償却費
10万円以上の固定資産
2-2 業務に直接関わるものだけを申告する
個人事業主が経費を計算する時に、注意が必要なのが「生活費と事業のための費用を分ける」ということです。
たとえば③の家賃が自宅の場合には、生活費と経費とに按分しなければなりません。たとえば家賃10万円に対して、事業で使用しているスペースが4分の1であれば、経費にできるのは2.5万円です。
自宅が持ち家の場合には、その減価償却費も按分して経費にできます。さらに住宅ローンの金利分も事業で使用する割合で按分します。注意が必要なのは、住宅ローン控除を受ける場合、事業部分を除いた居住部分が2分の1以上である必要がある点です。
⑤の光熱費や⑥の通信費も同様に、生活と事業で使っている割合から按分します。こちらは業務時間から計算する形になります。ひと月の業務時間が4分の1であれば、経費となる光熱費は4分の1です。
ただし注意が必要なのは、ガスと水道を事業でどのように使用しているのかを説明できるかどうかです。もし客観的に必要であると認められるように説明できなければ、経費として組み込むのはやめておきましょう。
このように個人事業主が経費を増やすためには、いかに事業用の按分を増やすかということもポイントになります。
⑧の減価償却費ですが、器具・備品の耐用年数は細かく決まっています。詳しくは国税庁のサイトで確認するようにしましょう。
国税庁:耐用年数(器具・備品)
https://www.keisan.nta.go.jp/h29yokuaru/aoiroshinkoku/hitsuyokeihi/genkashokyakuhi/taiyonensukigu1.html
もし一括で経費にしたいのなら10万円未満のものを、数年に分けて計上するなら10万円以上のものを購入するのがポイントです。
3 どれくらい経費は使っても良いのか、所得に対する割合など
個人事業主ば生活と事業の業務との割合などに応じて経費を増やすことができます。ほかにも経費に組み込める勘定科目がいろいろとあります。では、これらの経費はどこまで増やすことができるのでしょうか。
3-1 むやみに経費を増やさないこと
もちろん不必要にモノを購入して経費にしても、手取りのお金が少なくなるので生活費がその分少なくなってしまいます。それよりも考慮すべきは、黒字が少なくなることによる影響です。
事業のための融資を受ける際に、黒字が少なくなると審査が不利になってしまいます。赤字として申告していると、銀行などからの融資は受けられない可能性もあります。
もし融資を受ける可能性があるならば、経費のバランスをいかに取るかが大事です。
3-2 事業の割合をいかに高めるかがポイント
また必要経費はあくまでも事業に必要なものだけが認められるものです。しかし、生活と事業との按分が微妙なものもあります。そこをいかに経費に組み込むかがポイントといえるでしょう。
たとえば家賃ですが、事業のために必要なスペースをどれほど必要とするかによって、按分は変わります。持ち家の場合には住宅ローン控除の絡みもあるので上限に限りはありますが、賃貸の場合もやはり5割から6割といったところでしょう。
3-3 接待交際費には注意を
クライアントとの打ち合わせのためなどとして、飲食代などを接待交際費で経費にできます。このような飲食代をどこまで経費にするのかも、注意が必要です。というのも、税務署はこの点に関してはかなり厳しくチェックするからです。
もし確定申告が無事終わり、その時点で特に指摘がなかったとしても安心してはいけません。税務調査は5年間は遡って行われます。そして説明を求められた時のために、きちんと記録を用意しておかなければなりません。
そこで接待交際費に関してはしっかりと、どのクライアントと何のために、いつどこで打ち合わせをしたのかといった記録を残すようにしましょう。あまりに頻度が多いとチェックされやすいので、そのような場合には特に注意が必要です。
まとめ
個人事業主として確定申告をすると、様々な経費を計上できることがわかります。生活費との境界線があいまいな部分もありますし、場合によってはいくらでも増やせるように思えます。
しかし、税務調査で説明を求められても答えられるように、その根拠と記録だけはしっかりと残しておくようにしましょう。
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