実現主義とは?実現基準って?発生主義とどう違うの?【経理・会計用語をわかりやすく解説!】
実現主義とは、実際に実現した収益のみを計上するという考え方で、会計において主に収益の計上に用いられます。
何をもって“実現”とするかの判断にはいくつかの基準があり、どの基準を採用するかにより計上するタイミングが変わります。

実現主義ってなに?
【発生主義との違いは?】
同じく会計における考え方として発生主義があります。
発生主義とは、現金の受け取りや支払いの時点とは無関係に、その発生を意味する経済的事実に基づいて計上する考え方のことです。
実際の現金の出し入れに基づいて計上してしまうと、一定期間にかかった費用が正しく把握できないという点から、費用は発生主義で計上するのが望ましいとされています。
では、実現主義と発生主義の違いは何なのでしょうか。
たとえば以下の場合。
- 6月15日 顧客から注文
- 7月20日 商品を発送
- 7月21日 顧客に商品が納品
- 7月22日 顧客により商品検収
実現主義の場合、商品を顧客に発送(または納品、検収)された時点で計上されます。3つのうち、どの時点で計上されるかは会社によって変わります。
一方、発生主義の場合、顧客から商品の注文を受けた時点で収益が計上されます。 しかし、商品が販売されていない状態なので、この時点では現金や売掛金などの裏付けがありません。
確実に商品を発送(あるいは納品、検収)されたという事実があるため、発生主義に比べて実現主義の方が、収益に確実性があるといえます。
以上のことより、会計においては費用は発生主義、収益は実現主義に基づいて計上されるのがよいとされています。
【販売実現の3基準とは?】
冒頭でもご紹介したとおり、“実現”の基準にはいくつか種類があり、基本的な基準は以下の3つです。
- 出荷基準:商品を出荷(発送)した時点で計上。物販業界で主に採用。
- 納品基準:商品が販売先に納品された時点で計上
- 検収基準:商品が販売先で検収された時点で計上。製造業界で主に採用。
この他に、建設業や不動産業、電気・ガス・水道業等では独自の基準が採用される等、その種類は様々です。
誰がどの基準を採用しなければならないという決まりはありませんが、計上基準は継続して適用されなければなりません。
これは会社の都合で計上時期が操作されるのを防ぐためです。
【実現主義のメリット・デメリット】
<メリット>
確実性のある収益を計上できる
商品を販売(発送、納品、検収)したという客観的事実に基づいて計上されるため、確実性があると言えます。
利益の処分可能性が担保されている
“利益の処分”とは、利益を配当等として処分することです。
配当等は通常、利益剰余金(全収益から全費用および資本等を差し引いて余ったもの)から支払われます。
つまり“利益の処分可能性”とは利益剰余金となる可能性があるかどうか、ということです。
利益剰余金は株主などの保護や予期せぬ損失に備える重要な役割を担っているため、 “利益の処分可能性”は非常に大事なものとなります。
実現主義で処理する場合、販売の対価として現金や売掛金などを計上します。
現金や売掛金などの裏付けがあるため、その利益は処分できる可能性がある(高い)といえます。
<デメリット>
収益生成プロセスが考慮されない
収益とは、言い換えれば様々な企業活動の成果ともいえます。
つまり、その商品の調達や販売、管理といったプロセスも収益の一部ととらえることができ、その観点から言えば収益も徐々に計上されるべきなのです。
しかし、実現主義の場合、商品の販売という一時点のみに着目して計上するため、プロセスについては一切考慮されません。
【会計用語を正しく理解しよう】
以上、「実現主義」についてご紹介しました。
会計用語を正しく理解していないと、帳簿も正確につけることができません。なんとなくの理解で済まさず、しっかりと勉強しましょう。
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