簡易簿記とは?複式簿記との違いは?青色申告にも使えるの?【経理・会計用語をわかりやすく解説!】
簡易簿記とは、確定申告の際に必要となる帳簿の記帳方法のことです。
「正規の簿記(複式簿記)」に対し、簡易簿記と言います。
確定申告では、1年間(1月1日から12月31日までの間)の帳簿を基に、所得金額と税額を正しく計算し、申告しなければなりません。
事業所得等が生ずる業務を行う一定の方は、帳簿を備え付け、これらの業務に係る取引を“所定の方法”により記録し、一定期間保存することが所得税法で義務付けられています。
この“所定の方法”の一つが簡易簿記です。

【簡易簿記ってなに?】
【現金式簡易簿記、複式簿記との違いは?】
帳簿の記帳方法には、簡易簿記の他に現金式簡易簿記や複式簿記があります。
<現金式簡易簿記>
現金式簡易簿記とは、収入や費用の計上時期を現金の出し入れを基準とする、いわゆる「現金主義」によって記帳する方法です。
通常、記帳は現金の受け取りや支払いの時点とは無関係に、収益と費用をその発生を意味する経済的事実に基づいて計上する「発生主義」が用いられます。
しかし、現金式簡易簿記は現金の出入金に基づいて記帳します。
「発生主義」での記帳に比べて簡便ですが、以下の要件があります。
- 青色申告での申告が必要
- 「所得税の青色申告承認申請書(兼)現金主義の所得計算による旨の届出書」の提出が必要
- 前々年度の所得が300万以下であること
<複式簿記>
複式簿記とは、いわゆる「正規の簿記」のことで、損益計算書と貸借対照表が導き出せる組織的な記帳方法です。
取引を2つの方向から記帳していくため、“複式簿記”と言います。
簡易簿記、現金式簡易簿記と比べ難しく感じるかもしれませんが、青色申告で65万円控除を受けられるというメリットがあります。
これらの3つの記帳方法はどう違うのか、例を用いて簡単に示すと以下の通りです。
<例:6月15日に10,000円の商品を販売、7月20日にその代金が現金で支払われた>
簡易簿記
<現金出納帳>
年月日 |
摘要 |
売上 |
雑収入等 |
仕入 |
・・・ |
6/15 |
現金小売 |
10,000 |
現金式簡易簿記
年月日 |
摘要 |
売上 |
雑収入等 |
仕入 |
・・・ |
7/20 |
現金小売 |
10,000 |
複式簿記
<仕訳帳>
年月日 |
借方勘定科目 |
借方金額 |
貸方勘定科目 |
貸方金額 |
6/15 |
売掛金 |
10,000 |
売上高 |
10,000 |
※他に総勘定元帳、現金出納帳への記帳も必要
また、それぞれの特徴は以下の通りです。
簡易簿記
- 帳簿付けが比較的簡単
- 青色申告で申告すれば10万円の特別控除が受けられる(65万円控除は受けられない)
現金式簡易簿記
- 帳簿付けが最も簡単
- 10万円の特別控除が受けられる(65万円控除は受けられない)
- 届出が必要
- 前々年度の所得が300万円を超えると使用できない
複式簿記
- 帳簿付けが比較的難しい
- 65万円の特別控除が受けられる
【簡易簿記の記帳の仕方は?】
帳簿の種類については、行う業務の内容により異なりますが、標準的な簡易帳簿の種類は以下の5種類です。
現金出納帳
取引の順に現金の出し入れの状況を記帳します。
売上や仕入を現金で行っている場合は、売上帳と仕入帳も兼ねています。
売掛帳
得意先ごとに口座を作り、商品などの掛売りや、売掛金の回収の状況を記入します。
買掛帳
仕入先ごとに口座を設け、商品などの掛買いや、買掛金の支払の状況を記入します。
経費帳
仕入以外の事業上の費用を租税公課、水道光熱費、旅費交通費、給料賃金などの科目ごとに口座を設けて記入します。
固定資産台帳
事業用の減価償却資産や繰延資産について、原則として個々の減価償却資産ごとに口座を設け、資産の取得及びその異動に関する事項などを記入します。
詳しい記帳方法は国税庁HPに記載されている他、以下のような説明会や指導を受けることができます。
個人で事業を行っている方の記帳・帳簿等の保存について|国税庁
<白色申告者>
- 記帳説明会
記帳方法等について、税務署の職員や各国税局に委託された事業者等が説明してくれます。
決算時期には「決算説明会」も開かれます。
<青色申告者>
- 外部委託による記帳指導
記帳の仕方のほか、一般的な決算における処理や確定申告書等の作成の仕方に至るまでの一貫した指導が行われます。
- 会計ソフト方式
指導会場で会計ソフトを用いて記帳の仕方等について説明されます。
- 説明会方式
指導会場で一般的な資料に基づき記帳の仕方等について説明されます。
- 個別指導方式
自宅又は事業所等において、自分が備え付けている帳簿等に基づき複数回にわたって指導してもらえます。
【白色申告と青色申告の簡易簿記の違いは?】
簡易簿記は白色申告、青色申告どちらの申告方法でも使用可能です。ただし、白色申告は届け出が不要なのに対し、青色申告は届け出が必要となります。
白色申告にした場合、青色申告の10万円の特別控除を受けることができません。
【自分に合った記帳方法を選ぼう】
以上、簡易簿記についてご紹介しました。
帳簿等の記帳は、単に税金の計算を行うためだけでなく事業経営の合理化・効率化等の検討にも役立つものです。
それぞれの特徴をよく理解して、自分に合った記帳方法を選択しましょう。
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