フリーランスの子供が認可保育園に入るために必要な書類と入園基準【個人事業主・幼稚園】
自営業やフリーランスの人が子供を認可保育園へ入れる際、そのハードルは会社員よりも高くなると言われています。
平成30年以降は、厚生労働省から自治体に「保育所の利用調整は多様な働き方に応じて取扱うように」と通知されたことで、「以前よりもフリーランスや自営業が認可保育園に入りやすくなった」という声もありますが、果たして本当にそうでしょうか?
いくら厚労省から自治体へ「自営業が不利になる配点をしないように」という指導が入っても、「保育園の枠」そのものが増えた訳ではないため、認可保育園には必ず「落選する人」が存在するのも事実です。
そもそも認可保育園への入園は、どんな基準で決まるのでしょうか。ここでは、認可保育園に入るために必要な書類や、入園の基準について説明していきます。
フリーランスの子供が認可保育園に入るために必要な書類と入園基準
▼認可保育所の目的と入園基準
認可保育園(保育所)は、仕事をしていたり病気にかかっているなどの事情で「家庭で保育が出来ない」保護者のためにあり、これは児童福祉法で定められています。
自治体は基本的に「保護者からの申し込み」があれば保育所へ入所させることになっていますが、申込数が上回った際、保育所を利用出来る人の数を調整する必要がでてきます。
認可保育園の指数表を指す「利用調整基準表」といったものがありますが、「調整」という文言はここからきています。
認可保育所の利用が児童福祉法で定められているとすると、フリーランスや自営業の場合、「入所が必要な家庭」の度合いとして、どの辺りに位置するのかが気になるところです。
認可保育園の「利用調整指数」では、「企業の正社員でフルタイム勤務」というのが一般的な高得点の事例ですが、このご時世、この様な「高得点モデル」の家庭であっても、自治体によっては落選してしまうところが、待機児童問題の根深さを象徴しています。
▼就労時間と日数
いわゆる「家庭で保育が出来ない状況」を示す要素として、最も代表的なものが就労時間です。一日8時間、週に5日、月に160時間以上の就労であれば基準指数としては、どの自治体でもほぼ最高得点です。
逆に、「月に300時間働いている」などの長時間労働であっても、これ以上点数は増えません。
そして、同じ就労時間でも、外勤か居宅内就労か、会社員か自営業、または内職か、自営業の場合は中心者か協力者か、といった違いで、さらに指数が細かく分けられています。
フリーランスや自営業の保活において、以前の様に、会社員と同じ就労時間であっても「自営業であることだけを理由に配点を低くする自治体」が減少傾向にあることは確かです。
それでも、「就労時間の証明」や「子供を見ながら仕事が出来ないことの証明」など、何かと「家庭で保育が出来ない事情」の証明が求められる点では不利と言わざるを得ません。
▼病気や障害など
また、「保育が必要な状況」としては、就労のほかに「病気や障害」などの場合においても、「寝たきりであるかどうか」「障害であれば何級か」といった具合に細かく指数が定められており、様々なケースで「調整」が行われていることが分ります。
▼フリーランスが認可保育園入園の際に必要となる書類
認可保育園の入園基準は、とにかく「家庭で保育が出来ない様々な事情」を、就労時間などの様々な項目で配点していることが分かりましたが、その状況を証明するための書類も会社員とフリーランスとでは異なります。
最も重要なのが「保育が必要な状況を証明する書類」、つまり、多くの場合「就労証明書」ですが、フリーランスや自営業の場合は、就労証明書ではなく「自営就労申立書」などを提出します。
また、「就労状況申立書」「就労状況申告書」など、名称は自治体によって異なりますが、ここでは「自営就労申立書」で統一します。
▼自営就労申立書の項目
基本的な項目は会社員の「就労証明書」と同じですが、就労証明書は「勤務先が証明」するのに対し、自営就労申立書は自分で書かなければいけません。
就労の実態をいくら証明しても自己申告では客観性に欠けるため「証明書」ではなく「申立書」や「申告書」といった名称が用いられています。
▼屋号や所在地、業種など
自営就労申立書では、「業種」や「所在地」の欄が、配点に大きく影響することがあります。例えば「自宅と離れた場所で喫茶店を営んでいる」などの場合、屋号と店舗の住所が存在し、第三者による確認も容易なため「家庭で保育ができないことの証明」となるからです。
▼仕事内容
また、「仕事内容」の欄には、なるべく詳細を記入することが望ましいでしょう。最近ではフリーランスで働く人の中でも「インターネット系の仕事」で生計を立てている人も多いため、仕事内容をなかなか理解してもらえないケースも増えています。
外勤の会社員と異なり、仕事の内容が分かりにくいフリーランスの場合、「家庭で保育が出来ない状況」を申告するにあたって、いかに説得力を持たせるかがポイントになります。
例えば、「webコンサルティング全般」「システム開発」といった抽象的な表現よりも、「複数の顧客に対する、販売促進や利益率向上を目的としたアドアヴィスをするため定期的に訪問」や、「ソフトウェアを使用し、顧客の集客状況を分析して対策を提案するためのレポートを作成」といった具合に、なるべく具体的に記入した方が伝わりやすいのは言うまでもありません。
▼直近三か月の就労状況
会社員の就労証明書と同じく、フリーランスや自営の場合も「直近三か月」の就労実態を記入し、それを基に「保育が必要かどうか」の優先度が決まります。
「一か月ごとの仕事時間や収入の額」などを記入しますが、「保活」という点で、外勤の会社員と同じ土俵に立つには最低でも「月間160時間以上」の労働時間は欲しいところです。
また、フリーランスや自営業の場合、保育料を安くするために「一か月の収入」欄を低く設定する人がいますが、あまりに低すぎると「内職や副業」とみなされて低い配点となり落選するリスクがあるため要注意です。
そもそもフリーランスや自営業の場合、多くの自治体では「確定申告書類」や「納税証明書」などの「収入を証明する書類」との整合性が求められるため、収入額を調整して保育料を低くすることは無理があります。
▼確定申告の種別
自営やフリーランスの場合、自営就労申立書の中で「青色申告か白色申告か」を記入する欄が用意されている場合がありますが、これも自治体により大きく異なります。
自営就労申立書の中で「青色申告か白色申告か」を問われるということは、これとは別に添付書類として「確定申告書や収支内訳書の写し」などを提出しなければならない事を意味しますが、待機児童の数が比較的少ない地方の自治体であれば、そもそも自営業であっても添付書類を求めないケースも未だに多いのが実情です。
▼健康保険
健康保険の欄で社会保険か国民健康保険かを選択する箇所があります。「法人だけじゃないの?」と、疑問を持つ方も多いかもしれませんが、これは、個人事業主自営業であっても従業員を雇用している場合は社会保険への加入義務が発生する場合があるためです。
▼自営業やフリーランスに求められる添付書類
自営業やフリーランスの場合、自営就労申立書の内容を証明するため、必要な添付書類の提出を求められます。
代表的なものは「開業届」や「確定申告書の写し」ですが、これらの書類には、「公的機関である税務署の受付印」があるため、「自営業であることを確認する書類」として多くの自治体で採用されています。
▼併せて提出するとよい書類
フリーランスや自営業の場合、既定の提出書類だけでなく、独自の「就労を証明するための資料」を併せて提出することで入園の優先順位を上げる人も増えています。
代表的な資料は「取引先からの入金が確認できる通帳」や「注文書」「契約書」などですが、フリーランスという性質上、「取引先が力関係を盾に契約書を交わしてくれない」などの事情でこうした書類がない場合は、メールのコピーなどで代用する人もいます。
特に保活激戦区では尚更その傾向が強く、例えば、保活の競争が激しいとされる杉並区の様に、請負契約書や受注表、入金が確認できる通帳の写しなどを、最初から必要書類として求められる自治体もあるほどです。
▼スケジュール表や日報
そのほか、フリーランスであれば、独自で使用している「スケジュール表」や「日報」などを独自の添付書類として提出することも有効です。
これら「独自の添付書類」は自治体の指数表には記載されていませんし、これを提出したからといって保活が有利になるといった保証がある訳でもありません。
▼役所は「口頭よりも資料」を重要視する
しかし、役所という組織は、原則として「物的資料」を重視するため、極端にいうと「その資料の内容が疑わしくても決して虚偽だと決めつけることは出来ない」という性質があります。
これは、ただでさえ不利な状況に置かれるフリーランスの保活の戦略において、覚えておきたい考えです。
▼まとめ
ここまで、フリーランスの子供が認可保育園に入るために必要な書類や保育所の入所基準について説明しました。
とにかく重要なのは、児童福祉法で定められた「保育が必要な状況」が具体的に何を指すのか、そして、役所が「どんなルールやガイドラインを重視しているか」を把握し、提出書類の内容をより具体的にすることです。
そうすることで、フリーランスや自営業であっても、外勤の会社員に負けない高い配点が得られるはずです。
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