白色申告から青色申告に切り替えよう!【個人事業主の節税対策】
個人事業主として仕事をする上で、いかにコスト負担を減らすかが重要です。そこで確定申告を白色申告している方には、青色申告に切り替えることをおすすめします。節税効果につながるいくつかのメリットがあるからです。
【個人事業主の節税対策】白色申告から青色申告に切り替えよう!
1 【青色申告のメリットその1】最大65万円の特別控除を受けられる
個人事業主は白色申告でも帳簿をつけますが、単式簿記から複式簿記に切り替えることで青色申告に変更できます。そして青色申告にすることで、最大65万円の特別控除を受けられます。
ただし2020年分から、e-Taxによる電子申告と電子帳簿保存が必要になっています。
1-1 65万円の控除を受けるには複式簿記が必要
青色申告で65万円の特別控除を受けるためには、複式簿記での記帳が必要です。
複式簿記というのは、「借方」と「貸方」の2面で取引の記録をすることです。仕訳に複数の科目を使うといった作業が必要になります。
さらにこの複式簿記から作成した損益計算書と貸借対照表を添付することで、65万円の特別控除を申告できます。
1-2 e-TaxのためにICカードリーダライタも必要
2020年分の申告から、65万円の控除を受けるためにe-Taxによる確定申告が必要になりました。そのためには、電子証明書を組み込んだマイナンバーカードも必要になります。
さらにそのマイナンバーカードに対応した「ICカードリーダライタ」も用意しておかなければなりません。このカードリーダは2,000円程度で購入できます。
2 【青色申告のメリットその2】赤字を繰り越せる
白色申告と青色申告の大きな違いに、赤字分の扱いがあります。白色申告は原則として赤字分は申告したその年で処理をして終わりです。しかし青色申告の場合には、翌年以降3年間の繰越控除が認められています。
2-1 赤字の繰り越しとは
そもそも赤字の申告とはどのようなことなのでしょうか。
これはあくまでも確定申告の申告額のことで、手取り収入がマイナスになるという意味ではありません。確定申告では、収入金額と必要経費を申告します。その差額が事業所得となり、ここから所得控除をして課税対象となるのです。
その所得控除には基礎控除や国民年金・国民健康保険の支払額など様々なものがあります。これらの控除をした結果、課税所得がマイナスとなった場合、「赤字」として申告します。当然、所得税はかかりません。
白色申告では基本的にそれで終わりですが、青色申告の場合には赤字分を翌年の確定申告で「繰越損失を差し引く計算」という欄に記載して課税所得を安くできます。
2-2 赤字繰り越しの利点
青色申告で赤字を繰越控除できると、どのような利点があるのでしょうか。
たとえば開業して間もない頃は、設備投資にお金がかかったり売上が少なかったりといった理由で赤字になることがあります。もちろん赤字となれば、所得税は発生しません。
その赤字分を翌年に繰り越しをすれば、翌年の所得を引き下げることができます。もし翌年が黒字であれば、繰越控除をすることで課税所得を引き下げて税金を安くできます。最大3年間は繰り越しできるので、その間は節税効果を生みます。
もちろん翌年も赤字であれば、累積して計算することもできます。さらに繰越控除できることを忘れて青色申告を提出してしまった場合には、更正の請求をすればあらためて損失申告が可能です。ただし、すでに確定している納税金額はそのまま納付しなければならないので注意しましょう。
2-3 白色申告から青色申告へ切り替える条件
確定申告で赤字が認められるのは、次の3つのみです。
- 事業所得
- 不動産所得
- 山林所得
たとえばサラリーマンが個人で副業を行い、雑所得を得ているとします。白色申告では、雑所得で赤字が出てもほかの所得と合算することはできません。それでは、この雑所得を事業所得として申告すれば青色申告できるのか、という疑問が出てきます。
国税庁による事業所得の定義は、次のようになっています。
「事業所得とは、農業、漁業、製造業、卸売業、小売業、サービス業その他の事業を営んでいる人のその事業から生ずる所得をいいます」
さらに事業の定義は次のように定めています。
「「事業者」とは、個人事業者(事業を行う個人)と法人をいい、「事業として」とは、対価を得て行われる資産の譲渡等を繰り返し、継続、かつ、独立して行うことをいいます」
(国税庁公式サイトより)
つまり、副業であっても継続性があり事業活動として独立したものであれば、個人事業主となり事業所得として青色申告をすることができます。もし赤字となれば、翌年以降に繰り越しもできるということです。しかし、継続性がなければ事業所得と認められないので注意が必要です。
3 【青色申告のメリットその3】家族への給与が必要経費になる
青色申告は様々な控除による節税効果が大きいのがメリットですが、家族へ給与を支払うことでも経費として控除申告ができます。
もちろん、給与の金額はいくらにでも設定できるわけではありません。
3-1 青色事業専従者の条件
青色申告で家族への給与を経費として申告するためには、「専従者給与」として計上します。そのためにはまず、「青色事業専従者給与に関する届出書」というものを納税地に提出しなければなりません。ここで記載した給与額を上限として、経費計上できるようになります。
青色事業専従者として認められるには、条件があります。
まず青色申告をする者と生計を一にしている配偶者あるいは親族であること、その年の12月31日時点で15歳以上であることです。さらに年間で6ヵ月を超える期間その事業に従事してことも必要となります。
3-2 専従者になると配偶者控除はなくなる
配偶者を青色事業専従者とすると、その給与額にかかわらず配偶者控除はなくなります。配偶者控除額は38万円なので、給与額は38万円以上に設定する必要があります。
3-3 仕事をしている配偶者も青色事業専従者になれる
青色事業専従者となるためには、年間で6ヵ月を超えて青色申告者の時期に従事する必要があります。ではパートなどに出ているため6ヵ月を超える期間を確保できない場合はどうなるのでしょうか。
これは明確な決まりはありませんが、パートに出ている日でも時期に従事できると認められれば、問題はないようです。ポイントは「時間」です。あとで税務署からの問い合わせがあっても対応できるように、一日の行動スケジュールなどを記録しておくとよいでしょう。
3-4 適切な給与額とは
青色事業専従者給与として認められるのは、「労務の対価」として妥当であるかどうかです。むやみに高い金額設定をすると、経費として認められない可能性があります。
まずポイントになるのは「月額88,000円」です。これ以上の額になると、源泉徴収して所得税を支払い、住民税も発生します。
またサラリーマンが青色申告をする場合、配偶者の給与額を年間130万円以上に設定すると社会保険の扶養から外れてしまいます。個人事業の従業員という形なので、国民年金と国民健康保険に加入することになるでしょう。従業員が配偶者ひとりであれば、個人事業で社会保険に加入する必要はないからです。
以上の点を考慮して、給与額を設定することが必要です。
まとめ
青色申告は節税効果が高いメリットがあります。複式簿記など少しばかり面倒もありますが、個人事業主の方は検討することをおすすめします。
参考サイト
事業所得とは
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1350.htm
事業とは
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6109.htm
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