どの時点で利益は決まる?仮想通貨で税金が決まる利確タイミングとは
今回は「利益確定」のタイミングをいくつかの設例を示してご紹介していきます。その設例の中では「BTC」=「ビットコイン」のような略称がたくさんできますので、そのキーワードを最初に確認しておきたいと思います。
前の記事はこちら→会社員と比べて楽?会社員と個人事業主の確定申告の違いと仮想通貨の利益を申告しなければならない基準

どの時点で利益は決まる?仮想通貨で税金が決まる利確タイミングとは
はじめに
いずれも基本的な内容ですので知っておいて損はないでしょう。
- BTC・・・ビットコインのことです。言わずと知れた仮想通貨界の基軸通貨になります。カタカナで「ビットコイン」と書くよりも簡単なので、アルファベット3文字の略称がよく利用されます。アメリカのドルをUSDと表記する場合がありますがそれと同じようなものです。
- XRP・・・リップル。本記事ではアルトコイン(ビットコイン以外の通貨)の代表例として登場してもらっています。
- BTCFX・・・ビットコインFX。ビットコインのレバレッジ取引の代表例として登場して頂きました。
- 「@」・・・メールアドレスで出てくる@マークです。会計や税務の世界では単価を表わします。「1個あたりいくら」の意味で、「@100円」と表現したら、その商品が1個あたり100円であることを意味します。
これだけ分かれば設例は十分理解できるものと思います。それでは、具体的な内容に入っていきましょう。
仮想通貨の売買によるもの
単純な売買例
最も単純な例ですがバカにしてはいけません。今後の設例の基本となるものです。
設例1
個人投資家Aさんは、2月にBTC(ビットコイン)を1枚@1,000,000円で購入し、3月にBTC(ビットコイン)1枚を@1,100,000円で売却した。
これは小学生でもわかる計算でしょう。
- 売却金額1,100,000円 - 購入金額 1,000,000 = 仮想通貨売買益は100,000円。
国税庁から発表された「仮想通貨に関する所得の計算方法等について」という文書にも似たような例が記されています。
現実の仮想通貨の売買
しかし、現実の取引はこのように単純ではありません。もう少し現実に近い売買例を見ていきましょう。
仮想通貨取引所では、手数料をBTC(ビットコイン)で支払わなければなりません。ここが株などの金融商品と大きく違うところです。仮想通貨を取引したことのない人は最初に戸惑うポイントです。
実際の取引に近い計算例を示します。手数料を0.1%としましょう。
- 売却金額 1BTC - 購入金額 1BTC - 購入時手数料 0.001BTC - 売却時手数料 0.001BTC
となります。
これを日本円に換算します。
- 売却金額1,100,000円 - 購入金額 1,000,000円 - 購入時手数料 1,000円 - 売却時手数料 1,100円 = 97,900円
97,900円が売買を1回転したときの仮想通貨売買益となります。手数料の金額がBTCの価格変動によって変わっていることに注意しましょう。
売買したいビットコインの枚数以外に「手数料分のBTC」を売買する取引が同時に発生し、これを日本円にさらに換算する必要がある。これがリアルな仮想通貨取引の流れです。
仮想通貨を購入して、売却した時点で「利益確定」になることは変わりません。ただし、実際に行われている取引に近い形で理解しておく方が有益でしょう。
レバレッジ取引(信用取引、先物取引、FXなど)
仮想通貨の取引は何も仮想通貨の現物を買って、より高い値段で売るという取引しかないわけではありあません。ヘッジ目的(値動きを抑えること)や、投機目的でレバレッジ取引を利用することがあります。
レバレッジ取引を使うと「売り」から入ることもできます。
設例2
個人投資家Bさんは、BTCFX(ビットコインFX)を1枚@1,200,000円で売り、1週間後にBTCFXを1枚@1,050,000円で買い戻した。
この場合の損益の計算は次のとおりです。
- 売却金額1,200,000円 - 購入金額 1,050,000 - 支払スワップ金利 0.04%×7日分(仮に@1,200,000円×0.04%×7日=3,360円)=146,640円
従って、仮想通貨売買益の金額は146,640円となります。
日本の取引所ではレバレッジ取引については手数料が必要とされないケースが多く、上記のような計算となることが多いでしょう。
「売り」から入ったBTCFX(ビットコインFX)のポジションを市場が下げたところで決済する。これも立派な「利益確定」となります。
仮想通貨の交換によるもの
単純な交換(ビットコインを使ってアルトコインを購入する)
設例3
個人投資家Dさんは、1月にBTC(ビットコイン)を1枚@900,000円で購入した。その後2月になって、全てXRP(リップル)に乗り換えようと思いBTCからXRPに乗り換えた。XRPは交換時の時価は@100円で10,000枚を購入した。
この場合は、BTCを交換時の時価で換算して売却したものと考える必要があります。交換時、XRPは@100円×10,000枚ですので、BTCの交換時の時価は@1,000,000円であったことがわかります。
- 交換時価格@1,000,000円 - 購入時価格@900,000円 = 100,000円
この100,000円がBTCを売却した利益ということになります。
このように、仮想通貨を交換した時点でも「利益確定」となります。
仮想通貨同士の交換(例:ビットコインを使用したアルトコインの購入)は「仮想通貨自体を売却したわけではないのだから、税金は関係ない」などと書かれた記事を目にした方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、国税庁は、交換時の差額が「所得金額となる」との方針を2017年12月に明らかにしました。インターネット上には古い記事も残されておりますので注意しましょう。
仮想通貨の交換も「利益確定」となるのです。
現実の仮想通貨の交換
現実の仮想通貨の「交換」は、さらに複雑です。
ビットコインとアルトコインを行ったり来たりして、さらにビットコインで手数料を払うということがよく見られます。
アルトコインのレートは仮想通貨界の基軸通貨であるBTCとアルトコインのレート(例えばXRP/BTC、0.0001)で記録されており、日本円のレートは取引履歴には残されていません。
日本円のレートがないのに日本円で換算して税金を計算しろ、と国税庁は言っているのです。これは、かなり厳しい要求です。
取りうる方法は2つです。ひとつは、取引時に日本円のレートをエクセルに記録しておくこと。もうひとつは仮想通貨税金計算アプリなどのITの力を借りることです。
仮想通貨の取引をしたことがない方はこの苦労を知らない方が多いようで、仮想通貨投資家と一般の方との大きなギャップをひしひしと感じるテーマでもあります。
ちなみに筆者は多少プログラムができるので、取引所のAPIという機能を使って「交換」時のレートを求めました。
仮想通貨での商品の購入
設例4
Eさんは、1月にビットコインが時価@800,000円であったので0.3枚購入した。
2月に家電量販店に行き100,000円のパソコンを購入した。決済にはビットコインを利用した。この日のビットコインの時価は@1,000,000円であった。
まず、パソコンを買うのに必要なBTCの枚数を求めます。
- パソコン購入金額 100,000円÷BTC時価@1,000,000=0.1枚
0.1枚がパソコンを買うのに必要なBTCの枚数です。
そしてこの0.1枚の売却時の時価と取得時の差を求めます。
- BTC売却金額100,000円-BTC購入金額 80,000円 = 20,000円(仮想通貨売買益)
(売却時BTC@1,000,000円-購入時BTC@800,000円)×0.1枚 =20,000円
商品を購入したり、インターネット上のコンテンツを購入したりする場合にも、仮想通貨売買益が発生します。
仮想通貨を使っただけで儲かってはいないはずだから税金はかからないはずだ、と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、「ビットコインでパソコンを買う」という行為は、「ビットコインを取引所で売却し、売却して得られた日本円でパソコンを買う」という行為と結局は同じことです。
「取引所でビットコインを売却して日本円に変える」という1ステップを省略したに過ぎません。
仮想通貨で商品を購入した場合にも「利益確定」になる、ということを頭に入れておきましょう。
まとめ
これまでの話をまとめましょう。
仮想通貨が「利益確定」となり税金の課税対象のなるのは以下のタイミングです。
- 取引所で仮想通貨を売却した時点
- 取引所の仮想通貨レバレッジ取引(FXなど)のポジションを解消した時点
- 取引所で仮想通貨同士を交換した時点
- 仮想通貨を使用できるお店で仮想通貨を使用した時点
税金計算の基本になりますので、仮想通貨を取引する前に意識しておくとよいでしょう。
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