発生主義とは?現金主義、実現主義との違いは?【経理・会計用語をわかりやすく解説!】
発生主義とは企業の利益計算に当たって、現金の受け取りや支払いの時点とは無関係に、収益と費用をその発生を意味する経済的事実に基づいて計上する考え方のことです。
少しわかりにくいので以下の例で見てみましょう。
- 2月15日にクレジットカードでパソコンを購入
- 3月27日に口座から代金引落
この場合、実際に自分の口座からお金が支出されたのは3月27日ですが、発生主義の考え方ではパソコンを購入した日付(2月15日)で金額を計上します。
会計においてはこの「発生主義」の考え方を基本としています。
発生主義ってなに?
【どうして“発生主義”が基本なの?】
会計においては発生主義に対し、“現金主義”という考え方があります。
現金主義とは、現金の入出金に基づいて計上するという考え方で、上記の例でいうと実際にお金が支払われた3月27日に計上する方法です。
現金主義の考え方に基づいて処理する場合、現金の動きのみを見て計上する方法のため、非常にわかりやすく簡単であるというメリットがあります。
では、なぜ会計において“発生主義”が原則とされるのでしょうか。
それは、一定期間にかかった費用を正しく計上するためです。
例として、以下の2つをあげます。
家賃や光熱費を6月15日に7月・8月の2か月分(計12万円)まとめて支払った場合。
現金主義では、6月15日に2か月分の費用(12万円)が計上されます。
一方、発生主義では7月に6万円計上、8月に6万円計上されます。
150万円の機械設備(固定資産)を6月15日に購入した場合。
現金主義では、6月15日に150万円もの費用が一括計上されてしまいます。
一方、発生主義では減価償却費として耐用年数に応じて分割して計上することになります。
以上のことから、会計においては現金主義ではなく発生主義で計上することが望ましいとされています。
【発生主義のメリット・デメリット】
<メリット>
利益を正確に把握できる
現金主義で一括で費用を計上してしまった場合、実際には黒字であるにもかかわらず、赤字のように見えてしまいます。
発生主義の場合は、実際に発生した費用のみを計上するため、上記のようなことが起こりません。
青色申告の65万円控除が受けられる
確定申告の青色申告で65万円の控除を受けるためには幾つか要件がありますが、発生主義による記帳もその1つです。
<デメリット>
実際の現金の動きが分からない
発生主義の場合、現金の出し入れにかかわらず、発生時点での費用を計上するため、帳簿上は黒字でも現金がない、つまり黒字倒産のような状態になる可能性があります。
収益に用いた場合、確実性が不十分
収益も発生主義で計上した場合、裏付けがない状態で計上されてしまうため確実性がなく、過剰計上してしまう可能性があります。
【 “実現主義”との違いは?】
会計においての考え方として、発生主義、現金主義の他に“実現主義”という考え方があります。
実現主義とは、実際に実現した収益のみを計上するという考え方で、費用は発生主義で計上する一方、収益の計上にはこの実現主義の考え方が用いられます。
たとえば以下の場合。
- 6月15日 顧客から注文
- 7月20日 商品を発送
- 7月21日 顧客に商品が納品
- 7月22日 顧客により商品検収
発生主義の場合、顧客から商品の注文を受けた時点で収益が計上されます。 しかし、商品が完成していない状態なのでこの時点では現金や売掛金などの裏付けがありません。
一方、実現主義の場合、商品を顧客に発送(または納品、検収)された時点で計上されます。どの時点で計上されるかは業界等によって変わります。
この場合、確実に商品を発送(あるいは納品、検収)されたという事実があるため、発生主義に比べて収益に確実性があるといえます。
また、現金や売掛金などの裏付けがある場合がほとんどです。
以上のことより、会計においては費用は発生主義、収益は実現主義に基づいて計上されるのがよいとされています。
【会計用語を正しく理解しよう】
以上、「発生主義」についてご紹介しました。
会計用語を正しく理解していないと、帳簿も正確につけることができません。
なんとなくの理解で済まさず、しっかりと勉強していきましょう。
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