ポートフォリオには何を載せればいい? ポートフォリオに載せて良いもの悪いもの
ポートフォリオを作成しよう!と思い立った時、頭の中には大きなハテナが浮かぶかもしれません。すなわち「ポートフォリオに入れる内容って具体的にはどう決めたらいいの?」という疑問です。
クリエイターにとって、ポートフォリオは自分の作品をとにかくたくさん詰め込めばいいものというわけではありません。
ポートフォリオの内容があまりに膨大だと、閲覧するクライアントは途中で見飽きてしまうかもしれませんし、自分の本意でない作品に目を留められ、そうした方向性の作品を作るように依頼されてしまうかもしれません。
さまざまな作品を詰め込むことでポートフォリオが雑多な印象になってしまい、見せたことがかえってマイナスになるおそれもあります。
そうならないためにも、ポートフォリオに載せる仕事は厳選するのが鉄則です。もっとも誇れる作品、自分の個性やスキルを最大限に発揮している作品を並べてアピールしましょう。
では、ポートフォリオに載せて良いものと悪いものについて、具体的に考えていきたいと思います。
ポートフォリオに載せて良いもの悪いもの
ポートフォリオに載せて良いもの
自主制作・卒業制作など誰の許可も得る必要のない作品
ポートフォリオに載せるためにピックアップしやすいのは、誰の許可も得る必要のない作品です。大学や専門学校在籍時に制作した作品や、趣味やサンプル用に作成した作品は、納めた先がないので著作権や先方の許諾をとる必要がありません。
「活動し始めたばかりで手がけた作品が少なくて‥‥」というクリエイターも、学校で学んだ実績をアピールできるのでおすすめです。特に、時間をかけて制作する卒業制作や、学内コンペの出展コンテンツなどは力量をアピールできるため、ポートフォリオ向きの良い作品といえます。
長く活動しているクリエイター、あるいはフリーランスは、仕事を得るためにサンプルを作ることもあるでしょう。サンプルのコンテンツを作ることは自分の技術を磨く上でも有益であり、定期的にサンプルをリニューアルするクリエイターもいます。
ウェブのポートフォリオサービスは、フォーマットが充実しているサービスも多数あり、それぞれのフォーマットに合わせて掲載作品を作る、というのも宣伝面においては効果的かもしれません。
そうしたサンプルも、学校での制作と同様にクライアントのいない作品です。誰の許可を得る必要もなく、自分のクリエイティビティを存分に発揮できるので、ポートフォリオに載せやすいのではないでしょうか。
そうした個人的な作品は、クリエイターのセンスをアピールする上でもとても効果的です。
仕事で作ったものでも、許可が得られれば載せても問題ない
また、クライアントの発注を受けて作成した作品でも、先方の許可が得られているものなら問題ありません。
誰もが知る大ヒットになったようなコンテンツのポスターやイラストなら目を引くこと間違いなしです。そういったコンテンツは、ポートフォリオに大きく掲載して、まだ見ぬ次のクライアントへ強くアピールしたいところでしょう。
ポートフォリオに載せるのがNGなもの
著作権を譲渡しており、契約書で掲載を許可されていないもの
クライアントから依頼を受けた作品をポートフォリオに載せるにあたっては、「作品の権利」と「クライアントの意向」が重要になってきます。
作品は、作った本人だけが権利をもっているのではありません。むしろ、クライアントから報酬を受け取った時点で、作品はクリエイターやフリーランサーの手を離れることの方が多いのです。
契約書が重要、分からなければ問い合わせて確認を
クリエイターが仕事を受けると、契約書に作品の著作権についての取り決めや、二次使用が可能かどうか、また可能であればどの程度の範囲まで許諾されているのか、などが記載されるかと思います。
自分のポートフォリオに作品を掲載する際は、作品を納めた時の契約を確認し、掲載が契約上問題ないかどうか、よく確かめましょう。
転職活動の一環でポートフォリオを作成する場合も、注意が必要です。以前の職場における作品は、作ったのは確かにクリエイター本人だとしても、著作権が所属していた企業にあります。
また、デザイナーが著作権を依頼者へ譲渡している場合、その作品の作者として公表できないケースもあります。
仕事内容によっては、守秘義務が課せられているプロジェクトもあるでしょう。クライアントに直接関係している情報やプロジェクト内容に関する情報は、守秘義務が交わされていた場合、安易にポートフォリオに公開すると守秘義務に違反になってしまうおそれもあります。
秘密保持契約を結んでいた場合は契約書を確認し、不明な点は当時のクライアントに再度問い合わせるなど、曖昧なままポートフォリオに掲載しないようにするべきです。
もし、契約で掲載を禁止されていた作品を、ダメなことを知りつつ無断でポートフォリオに載せた場合、クリエイターとしての信用問題だけでなく、賠償問題に発展することもあります。
こうなってしまうとお互いに損しか生まれませんので、当時の依頼者の利益を損なうことのないよう注意してください。
ウェブ媒体のポートフォリオでは特に注意
特に、ウェブ媒体で完全にオープンなポートフォリオを作成する際は注意が必要です。自分で持ち運ぶことが前提の紙媒体ポートフォリオは、目にする人数も限られているのである程度閲覧者を制限できます。
しかし、ウェブ媒体のポートフォリオだと、検索してたどり着いた全ての人間が閲覧できてしまいます。ポートフォリオサービスの中には、利用者同士の交流を目的として掲げているサービスも多く、世界中の作品を何万人もが閲覧する環境になっています。
そうしたところに一度作品を載せてしまうと、データを完全に消し去るのは難しいです。
よく芸能人の写真流出やSNS炎上が話題になりますが、一度ネットに出てしまったものは簡単に消すことができません。クライアントへの確認をとらないまま、オープンな場に軽率にアップロードすることはくれぐれもひかえましょう。
もちろん、著作権を譲ったコンテンツであっても、企業やクライアントに問い合わせて許可を得た作品についてはこの限りではありません。ポートフォリオに掲載されることが会社の宣伝につながると考える企業もいると思うので、まずはクライアントへ問い合わせれば確実ですね。
出先で営業の資料として利用するために、許可が取れない作品を使いたい場合
著作権を譲渡していて、ポートフォリオへの掲載許可が下りていなかったものでも、作品としての完成度が非常に高く営業の資料として使いたい。という人もいると思います。
許可が取れていない以上、大々的に「自分が作ったものですよー!」と宣言していくことはできませんので、面接・打ち合わせなど使うタイミングを限定して閲覧者を制限する必要があります。
不特定多数には発信しないことが前提
あくまで紹介程度に、出先や特定のタイミングで使用することが目的なので、不特定多数が閲覧できる状態にしておく必要はありません。閲覧できる人間を制限するのが前提となります。そのための方法として知られているのがBASIC認証です。
自サイトにBASIC認証で閲覧制限をかける
BASIC(ベーシック)認証とは、ユーザ認証方式の一つです。Webブラウザを閲覧する人に、ユーザー名とパスワードの入力を求めることにより、閲覧者を制限して該当ページを限定的に公開することができます。
BASIC認証を使えるのはレンタルサーバーを契約して、自分でポートフォリオサイトを持っている人だけになります。無料ブログやポートフォリオサービスでは使えません。
このBASIC認証を用いることにより、「許可が取れていないけど実績として見せたい渾身の力作を」使うタイミングを限定した資料として掲載できる可能性も出てきます。
ただし、BASIC認証はあくまで簡易的な認証方式
とはいえ、BASIC認証はあくまで簡易的な認証方式。パスワードが外部に漏れてしまうリスク以外に、悪意ある第三者が閲覧しようと試みたり、改ざんをおこなうのはそれほど難しくないということも知っておくべきです。
BASIC認証
https://ja.wikipedia.org/wiki/Basic%E8%AA%8D%E8%A8%BC
そうした可能性も十分考慮して、ポートフォリオを作成しましょう。
出典元、現在の著作権者、前職で作った経緯などの明記、どの箇所を自分で作ったのかを最低限しっかりと明記しましょう
論文やレポートに引用するには、「引用元から一字一句変えずに記載すること」、「出典を明記すること」などありますが、基本的には、そうした文章の引用とルールは同じと思えばOKです。
すなわち、「コンテンツの出典元」、「作品の現在の著作権者(社)」、「(フリーランスでない場合)前職で作った経緯」、「作品のどの部分を手がけたか」といった情報が明記必須のインフォメーションとなります。
契約を始める段階でポートフォリオへの掲載許可をもらうのもあり
今後ポートフォリオが増やしていきたいなら、契約の段階でポートフォリオへの掲載許可をもらい、代わりに何%か料金の割引をするという方法もありです。
こうすれば、「こちらはポートフォリオの実績が増え、相手は料金が割引される。」お互いにウィンウィンな条件なので、確実に公開できる実績を増やしつつ仕事も増やしたいフリーランスにはオススメです。
まとめ
いかがでしたか。基本的に、ポートフォリオの形式やページ数にこれといった決まりはありません。
ポートフォリオは、自分自身をあらわす名刺であり、クリエイター、フリーランサーという「個人事業」の事業内容を紹介する重要な媒体。斬新なアイデアのままに、さまざまな形を試してみるのもいいでしょう。
著作権やクライアントの権利を遵守して、すばらしいポートフォリオを作成してみてください。
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