税理士が仮想通貨の確定申告に対応している会計ソフト・計算ツール6つを試してみた感想
今回は確定申告に使える仮想通貨税金計算アプリを順番にご紹介していきます。
前の記事はこちら→知って安心!仮想通貨で得た収益から雑所得・税金の計算方法 -「移動平均法」と「総平均法」

仮想通貨の確定申告に対応している会計ソフト・会計アプリ・計算ツール
Ⅰ.【無料】G-tax
概要
仮想通貨取引は売買しか行っておらず、G-taxの計算結果を使って再計算することのできる税理士がいるという場合に利用できる仮想通貨計算アプリです。Guadianの税理士がつかないタイプと考えれば分かりやすいでしょう。現在、無料で利用可能です。
対応取引所
Zaif、bitFlyer、coincheck、bitbank、Bittrex、Poloniex、Kraken、hitBTC、quoinex、BITFINEX、BINANCE、Changelly、Yobit.net(合計13社)
計算方法
移動平均法・総平均法
対応取引
「主要取引所の取引履歴に対応した仮想通貨の売買による所得を計算するサービス」としか書いておらず、具体的にどの取引に対応しているかはわかりません。税理士と一緒にこのアプリを使うことを前提としており、現物以外の取引をしている人がG-taxを使うのはリスクがあるかもしれません。
感想
bitFlyerのビットコイン現物、FXの取引に関してXLSファイルを読み込ませると、計算結果が表示されました。「移動平均損益」「総平均損益」の両方が表示されており、どちらか有利かを判断するにはとても便利な機能でした。
計算スピードも申し分ないと思いますが、筆者が考えているより利益が多めに出ているように感じておりやや不安も残ります。
Ⅱ.【無料】BITCOINTAX
概要
ほとんどの仮想通貨税金計算アプリがメールアドレスの登録が必要ですが、BITCOINTAXはそれさえも不要です。URLを開いて取引履歴ファイルをドラックアンドドロップするだけで税金を計算してくれるアプリです。
対応取引所
bitFlyer(*1)、Coincheck、Zaif(*2)、bitbank、BITPoint、Poloniex、Bittrex、Binance、HitBTC、CryptoBridge(合計10社)
※1bitFlyer Lightning(ビットコイン現物・FX・先物取引、イーサリアム現物の取引)には対応していません
※2ただし、現物取引のみ。信用取引・AirFX取引・先物取引には対応していません
計算方法
移動平均法のみ
対応取引
現物のみ対応ということのようです。
感想
2017年、2018年を選択してから、ファイルをドラックアンドドロップするだけの簡単な設計です。Freeeで「計算中」でフリーズした401件のデータを読み込ませたところすんなり計算をしてくれました。
計算の待ち時間も全く気にならない程度です。十分商用で通用するアプリです。役に立ったという方はモナコインを寄付してあげると良いでしょう。
Ⅲ.【無料】Cryptact
概要
ゴールドマン・サックスにて10年超勤務した技術者の方が作られたアプリです。現在は無料で利用可能です。
対応取引所
<国内>
bitFlyer、bitbank、coincheck、GMO、zaif
<海外>
Binance、bitfinex、bittrex、changelly、CoinExchange、cryptopia、HitBTC、kraken、poloniex、Quoine(合計15社)
計算方法
移動平均法・総平均法(先入先出法、後入先出法にも対応)
対応取引
ほぼすべての取引に対応していますが、システムで対応できなかった取引は「未分類」に分類されユーザーが自分で対応する仕組みとなっています。
仮想通貨を使った商品の購入、ICO、ハードフォークは、カスタムファイルをユーザーが作成し、読み込ませることで対応しています。
感想
筆者のbitFlyerの取引履歴をアップロードしてみると、すぐに計算結果が表示されました。見た目もよいのですが、計算結果は私が考えているより利益が多く出ているように思いました。直観的で使いやすいと思います。
なお、このアプリは、前回の記事で紹介した、先入先出法(FIFO)や後入後出法(LIFO)も選択可能になっていますので、日本の投資家は選択しないように注意しましょう。
Ⅳ.【無料】Freee【申し込み終了】
https://www.freee.co.jp/kakuteishinkoku/cryptocurrency/
概要
会計ソフトで有名なFreeeが仮想通貨にも参入しました。個人事業主やフリーランサーで利用している人は入りやすいでしょう。対応取引所は2社と少なめです。
対応取引所
bitFlyer、bitbank(合計2社)
計算方法
総平均法のみ
対応取引
現物取引のみ対応しています。「仮想通貨での商品の購入」「仮想通貨の証拠金取引」「仮想通貨の分裂(分岐)」「仮想通貨のマイニング等」「各取引所のアフィリエイト報酬」は不可となっています。
感想
5000人限定で無料で使える仮想通貨税金計算アプリです。Freee社から発表があった直後に申し込みましたが5000人から落選したようでメールが来ませんでした。2018年3月に改めてメールを登録したところ今度は返信メールが来て利用できるようになりました。
筆者が取引したbitflyerの401件の履歴を読み込ませてみました。しかし「計算中」と表示されたまたま動かなくなってしまいました。
ブラウザはchromeを利用しているのですが、5分経っても10分経っても「計算中」のままでした。このためfirefoxに切り替えてみましたが同じ状態です。
マイクロソフトのEdgeでも同様でした。401件の取引履歴というのが多すぎるということなのか、計算結果が表示されない原因はわからずじまいでした。
Freeeは個人事業主や起業されている方には馴染みがある方もいらっしゃるかもしれません。
会計ソフトなどで既にFreeeのシステムを既に使っている方で、かつ、仮想通貨の取引量が多くない場合には、利用しやすいシステムかもしれません。
>>仮想通貨の確定申告なら「会計freee for 仮想通貨」を使う
Ⅴ.【無料】Keiry(ケイリー)【サービス終了】
概要
個人事業主として7年間確定申告を経験した作者が、仮想通貨の確定申告を簡単にするために作ったアプリです。2017年度の確定申告期間(2018年2月16日 ~ 2018年3月15日)は全ての機能を無料で利用可能です。
対応取引所:
bitFlyer、Coincheck、Zaif、Binance、Bittrex、Changelly、Poloniex
(合計7社)
対応ウォレット
Copay(BTC)、TREZOR(BTC)、Ethereumアドレス(ETH/ERC20)、NEMアドレス(ETH/ERC20)(合計5個)
計算方法
移動平均法・総平均法
対応取引
- 仮想通貨対円の取引(BTC_JPY等)
- 仮想通貨同士の取引(ETH_BTC等)
- 仮想通貨と円以外の法定通貨の取引(BTC_USD等)
- 仮想通貨による決済(BTCで商品を購入等)
- 仮想通貨による報酬(BTCで報酬を受け取り等)
- チップ・マイニング・ICO参加・ハードフォーク・エアドロップ
など広範囲に対応となっています。
一方で、未対応機能としては、bitflyerでは「チャット上のチップ」、zaifでは「Zaifコイン積立、マネパカード、チップ、先物取引履歴、AirFx取引履歴」となっています。
感想
筆者のbitFlyerの取引履歴を試してみました。Keiry はAPIを使用する仕組みで、bitFlyerにログインしてAPIキーをKeiryに登録する必要があります。
勿論、KeiryがAPIキーを利用して仮想通貨の入出金を実行することはないわけですが、やはり少し怖い印象があります。APIキーの不正アクセスで仮想通貨が盗難に遭ったというニュースがあるからです。
計算が終わったらAPIキーを「無効化」したり、「削除」したりするようアナウンスがあっても良いと思います。
APIで取得できない情報はXLSファイルを読み込ませる形になっています。
筆者のbitFlyerの取引はビットコインの現物とbitFlyer lightning FXの2種類で401件の取引なのですが、Keiryでは損益計算がうまくいかず、損益がゼロ円と表示されていました。
計算結果がメールで送信されるというのも、やや面倒な印象を受けました。
Ⅵ.【有料】Guardian
https://www.aerial-p.com/guardian
概要
仮想通貨に詳しい税理士の監修のもとで作った「仮装通貨計算アプリ」。税理士のサービスとアプリをセットで売る仕組みです。料金は49,800円~。法人の場合は200,000円~。
対応取引所
Zaif、bitFlyer、coincheck、bitbank、Bittrex、Poloniex、Kraken、hitBTC、quoinex、GMOコイン、BITFINEX、BINANCE、BTCBOX、Yobit.net、Changelly
(合計15社)
計算方法
移動平均法・総平均法
対応取引
税理士によるサポートがあることから、システムで対応できない部分については税理士が対応するようです。
感想
無料で利用できるアプリもある中で、最低5万円近い利用料を取るのは高いと感じられる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、エクセルとAPIを使って仮想通貨の税金を計算した経験から申し上げますと、人間が過去取引1年分を追いかけていくとしたらかなりの時間と労力がかかります。その時間と労力を考えれば、5万円以上の利用料をとるのも妥当ではないかと筆者は考えます。
なお、念のため申し上げておきますと、筆者はGuardianとは何の関係もありません。
まとめ
6つのアプリを紹介しました。筆者の独断と偏見になりますが、お勧めは次のとおりです。
現物しか取引しない人にとってはどれを使っても良いでしょう。ご自身のフィーリングにあったものを選べばよいと思います。その中でも筆者が良いと思うのは、BITCOINTAX、Cryptactです。
G-taxは税理士がいることが前提となっているところがやや不安が残ります。Keiry とFreeeは筆者の取引履歴が読み込めなかったことを減点しました。
現物以上の取引を行う人(ICOやFXなどのレバレッジ取引)にとっては、GuardianかCryptactをお勧めします。
Guardianは、システムで対応できなかった取引を税理士が処理してくれるでしょう。一方で、Cryptactは、ユーザーがカスタムファイルを作成することで対応しています。
まだ成熟していない仮想通貨界では、税金計算アプリもまだ決定版は出ていません。現段階では、ご自身の取引内容とアプリの対応表を比較して、自分にあったアプリを探すしかなさそうです。
さらに詳細をまとめた次の記事はこちら→仮想通貨の確定申告を楽にしてくれる6つの税金計算ツールで出来る機能の一覧と詳細
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