スマートで上手な取材・インタビューのコツ
インタビューは経験を通して慣れることは重要です。「取材の目的」は事前に分かりますが、「具体的な答え」は想定できないので取材現場の対応力が求められます。
しかし、記事のセオリーをきちんと理解して臨めば脇道に逸れることもなく、記事もスムーズに仕上げることができます。
短期間で身になる経験として積み上げることができるので、会ってインタビューすることはとても重要です。聞き出した「具体的な答え」から「記事のテーマ」に沿った内容に反映させるテクニックを、企業経営者や起業家インタビューを想定して、できるだけ具体的に紹介します。
スマートで上手な取材・インタビューのコツ
1.インタビューって何?
インタビューは、関心がある内容を思いのままに質問し項目をつなげて記事にすることが目的ではありません。読者に理解してもらい、共感や感動を与える記事にするためにさまざまな情報を論理的に導き出す作業です。
背景に隠された要因と結果を一貫性のあるストーリーとして描くために、「確かな根拠を発掘する」重要な作業です。
①インタビュー前に決める「取材テーマ」と取材後に見えてくる「記事テーマ」
たとえば、インフルエンザが流行しているときに「原因や対処法」について医師にインタビューする場合の質問項目は、1つのシナリオとして準備することができます。原因を背景とともに複数挙げてもらい、それぞれの具体的な対応策を聞きます。
しかし、経営者に「成功のヒミツ」を聞くインタビューだと、シナリオが読めません。複雑に絡み合う論点の整理をしながら質問項目を選ぶ必要に迫られます。
「記事として表現したいテーマ」を段階的に絞り込むため、複雑な思考プロセスを繰り返し、同時に柔軟な質問力から深堀りや次の展開へと誘います。
取材テーマだけに固執すると踏み込んだ取材ができず、内容を伴わない記事しか書けなくなります。インタビュー現場の思考プロセスと質問力は、経験の差から生じるものなので経験を積むしかありません。
②インタビューの目的は記事テーマの見える化
ただ、取材テーマを無視するわけではありません。経営のヒミツを引き出すはずなのに、「発想はゴルフ場で生まれる」と言われて、「ゴルフ活用術」が記事のテーマに変わることはありません。
ここで重要な考え方が、「発想が生まれるのがゴルフ場」であって、それはビジネスが成功した「1つの根拠」に過ぎないという点です。
その発想が、どういうプロセスを経てどういう具体的な形になっているのかを聞き出す必要があります。「なぜ?結果につながったのか」、そのプロセスを明らかにします。
すると、「プレー中でもメモを取り、忘れないようにしている」という新たな事実が浮かび上がるかもしれません。ポケットにはいつも、アイデアをメモする紙とペンが入っていることは「記事のテーマ」に関連する重要なファクターとなります。
記事のテーマとは、1つの言葉から「読者にも興味ある事例」や「発想の原点」を「見える化」することです。
「結果」には、時系列に積み上げられた背景があります。背景が根拠となり出来事になり、さらに「たとえば年商100億円」という結果につながっています。
また、これらの要素を組み合わせることで、記事テーマに対して論理的に整合性のある記事になっていることをイメージすることが重要です。
この単純な構造を知れば、質問に困ることはありません。
2.インタビューのコツ
インタビュー対象者にはそれぞれ個性があり、マニュアル通りに進行できるわけではありません。しかし、コツはあります。
多くを語る人は、記事に直接関係がない内容をどんどん話します。多くの内容があれば記事量に困ることはありませんが、記事は読者を意識して書くものです。
取材する側が主体になって質問しなければ、記事テーマが曖昧になる可能性も出てきます。想定した時間内に効率よく、必要なポイントを引き出す基本的なテクニックを挙げておきます。
①必要な答えと不必要な答えがある
「メモの具体的活用方法」が明らかになったとき、その「きっかけ(原点)」を聞くことは重要ですが、「100円ショップで買った」という情報は、事業の成功の理由が「経費削減」でなければメモするほど重要ではありません。
②話題は強制的に引き戻す瞬間技
余談が入り込み始めたときの判断は非常に重要です。「必要か」「必要でないか」の判断に迫られます。しかし、早く判断して話題を強制的にインタビューする側が主導できる内容に引き戻す必要があります。
この場合、少し強引でも「アイデアを生む他の具体策は?」「アイデアを形にする具体策は?」「社員にメモを勧めますか?」というように、常に「具体的な事実」を聞くようにします。「他に何かありませんか?」という質問はプロとしては失格だという意識を持っておきましょう。
3.口数が少ない人から言葉を引き出すテクニック
取材を何度も重ねると、相性が悪かったり口数が少なく質問に対して「アイデアなんて個人の感性だから」「社員が頑張ってくれたから」という、ロジックを伴わない短い答えしかしてもらえない場合もあります。
人間だからお互いに気持ちが乗らないときもあるでしょう。そんな難敵を操るテクニックを紹介しておきましょう。
①平静を保ちあくまで論理的に質問を繰り出す
職人社長に「個人の感性だから」と言われたら、「どんな性格の人が向いていますか」「マーケティングリサーチはどのようにされていますか」など、ロジックの展開に引き込む踏み込んだ質問をします。
いじわるな気持ちで踏み込むわけではなく、論理的に整合性の取れた記事を書く以上、必要な質問です。
少し腹が立ったら、記事の最後に「成功のヒミツは個人の感性だから、と話しています」、しかし「一面で繊細なスケジュール管理をするなど、社員には見せないビジネス思考も取り入れています」と、性格や気質の紹介として加えることができます。
すると、読者は「納得」したり、「コミュニケーションが苦手でも事業はできるかもしれない」と共感するようになります。
取材の趣旨を説明して受諾してもらっていればほとんどの取材対象者はきちんと答えてくれますが、常に自分自身がリードする気持ちで、論理的な質問テクニックを鍛えることを忘れないようにしましょう。
まとめ
インタビューは人間対人間のコミュニケーションです。違うのは、取材対象者は「記事の構造」を知らない点です。インタビュアーは「記事の構造」に沿った質問をします。
もし、記事の構造が分かっていない場合は簡単な記事を図解で書き起こしてみましょう。事業拡大という「出来事」に対して、裏付けとなる根拠を複数挙げることができます。
また、その具体例として「年商100億円」という結果があります。インタビューの最後に「これからの目標は?」と聞くのは、次の目標を明確にすることで共有した内容との整合性を確認します。お互いのコミュニケーションに対する敬意につながる効果もあります。
ライター:今
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