会社員を辞めて個人事業主へ、失業保険は貰えるか

会社員から個人事業主へ 失業保険は貰えるか

会社を辞めて、フリーランスや個人事業主になるひとが、このごろ増えているようです。
ですが、個人事業主になるときには、失業保険をもらうことはできません。

「会社を辞めて個人事業主になっても、失業保険がもらえるから、いきなり生活費に困ることはない」と思っていませんか?

それは大きな誤解です。

「長いあいだ会社勤めをして、ずっと雇用保険に入っていたのに、どうして?」と思われるかもしれませんね。

本記事では、その理由を順にご説明いたします。

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会社員を辞めて個人事業主になる際、失業保険はもらえる?

個人事業主は失業保険をもらえない

失業保険をもらうには、原則として、以下2点の受給要件を満たしていなければいけません。

(1)離職日以前の2年間、雇用保険に加入していた期間が通算12か月以上あること
(2)失業の状態にあること

個人事業主が失業保険をもらえないのは、(2)に該当しないからです。

失業保険をもらえるのは『失業の状態』にあるひと

『失業の状態』とは、就職する意思・能力・環境があって求職活動をしている、という状態を指します。

個人事業主は、個人事業の開業届を提出して、すでに自分の事業を行っているひとです。

ですから、いま現在、仕事があろうとなかろうと、個人事業主が失業の状態になることはないのです。したがって、失業保険ももらえません。

仕事をする意志・能力・環境がそろっていて、クライアントや仕事を必死に探していたとしても、それは『求職活動をしている』ことにはならないのです。

個人事業主になる前なら、失業保険をもらえる?

「じゃあ、個人事業の開業予定は黙っておいて、失業保険を全額もらってから、開業届を提出すればいいんだ」と思ったひとはいませんか?

残念ながら、それは立派な不正受給です。

失業保険の手続き

失業保険をもらうには、ハローワークで失業の認定を受ける必要があります。
ハローワークで求職の申し込みをすると、28日(4週間)ごとに『失業認定日』が指定されます。

失業認定日には、『失業認定申告書』に必要事項を記入して、ハローワークへ提出しなければいけません。

失業認定日に、失業認定申告書を提出して、失業の状態にあることをハローワークで認定してもらって、はじめて失業保険が受け取れるのです。

個人事業主の申告

失業認定申告書には“就職もしくは自営した人又はその予定のある人が記入してください。”という項目があります。

個人事業主は、この『自営』のほうに該当します。
さらに“〇月〇日より自営業開始(予定)”という欄があり、開業日、あるいは開業予定日を記入することになっているのです。

つまり、開業届の提出後はもちろん、提出前であっても、個人事業の開業については、ハローワークに申告しなければいけません。
これを隠して失業保険をもらえば、不正受給になってしまいます。

失業保険の不正受給にはペナルティがある

失業保険の不正受給に対しては、雇用保険法で定められたペナルティがあります。

当然、不正受給した失業保険は返さなければいけません。そして、不正受給の後は、失業保険をもらえなくなります。

さらに、俗に『3倍返し』といわれるペナルティがあります。

もらった失業保険を返すだけでなく、返した失業保険の2倍の金額を納付しなければいけない、というものです。

ハローワークのホームページには、不正受給の典型例がいくつか掲載されています。
そのひとつとして、『事業をはじめていることを失業認定申告書に記載せず、ウソの申告をした』というケースも明記されています。

不正受給のチェックは年々厳しくなっている、ともいわれています。くれぐれも、虚偽の申告は控えましょう。

フリーランスも失業保険をもらえない?

「個人事業主になるつもりはないし、就職先も探している。けど、失業保険だけでは心もとないし、就職が決まるまで、フリーランスでいくらか稼ぎたい」というひとも、いるかもしれませんね。

個人事業主になる予定も意思もないなら、失業認定申告書の“就職もしくは自営した人又はその予定のある人”には、該当しないことになります。

一概に、フリーランスで仕事をした、イコール失業保険をもらえない、とはなりません。
でも、フリーランスで仕事をしたときには、そのことを申告する必要はあります。

フリーランスの申告

失業認定申告書には、“失業の認定を受けようとする期間中に、就職、就労又は内職・手伝いをしましたか。”という項目があります。

『失業の認定を受けようとする期間』とは、失業認定日まえの28日間を指します。
このあいだに、たとえば「1日だけ試験監督のバイトをした」「クラウドソーシングで仕事をもらって、ブログ記事を1本書いた」日があれば、きちんと申告しなければいけません。

ちなみに、1日の労働時間が4時間以上の場合は『就職・就労』、4時間未満の場合は『内職・手伝い』となります。

失業保険はもらえたり、もらえなかったり

『就職・就労』をした日については、失業保険はもらえません。
もらえなかった分の支給日数は、後日に持ち越されるだけですので、失業保険をもらえる日数が減るわけではありません。

『内職・手伝い』をした日については、収入額で処理の仕方が変わります。
収入の金額によって、失業保険が(1)全額もらえない、(2)減額されて一部だけもらえる、(3)全額もらえる、の3パターンがあります。

(1)については、もらえなかった分の支給日数は、後日に持ち越しです。
(2)(3)については、失業保険をもらった日として扱われます。(2)減額支給であっても、(3)全額支給と同じく、失業保険をもらえる残りの日数が減ります。

失業保険をもらえないからこそ

クラウドソーシングの拡大に伴って、フリーランスや個人事業主は、今後も増えると予想されています。

個人事業主として働いていくと決めて、会社勤めを辞めるとき、収入の目途がどれくらいたっているかは、ひとそれぞれでしょう。

「フリーランスでの収入が、会社の給料を越えたから、個人事業主になる決心をした」というひともいるようです。

いっぽう、あえて背水の陣で個人事業主になって、自分を追いこむことで成功した、というひともいるかもしれません。

いずれにしても、正社員のように、毎月一定額の収入が約束されていないのが、フリーランス・個人事業主です。金銭的なリスクには、やはり、できるだけ備えておくことをおすすめします。

ライター:サガ アサコ

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